カナかな団の躁鬱

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日記

786 初心者にマークアップをどう教えるか 2

  • 投稿者 首領
  • 投稿日 2004年03月10日 05時16分

どうして正しい HTML 、或いは正しいマークアップをしなきゃならないの?と尋ねられた時、『妥当なマークアップを施さなくてはならない最大の理由は、それが妥当だからである』という回答以外の回答は、現状あまり意味がありません。

実質、現在 web 上にあるリソースの多くは、妥当ではないマークアップを施されてたりしますが、一般に流通している web ブラウザで、それを利用している閲覧者にとっては、さほど問題にはなりません。問題になるのは、スクリプトのバグだったり、CSS のバグだったりします。

逆に、妥当なマークアップが施してあるリソースのメリットはと問われれば、──例えば、ウチのリソースは概ね妥当なマークアップになっているわけですが、その恩恵に与れる利用者は、おそらく、常時ユーザースタイルシートを利用している徳保氏ぐらいのものでしょう── 現段階では、利用者にとってほとんどメリットは無いと答えざるをえません。

確かに、妥当なマークアップが施されたリソースは、実はかなりユニバーサルなものなのですが、現状それを利用するにあたって、一般的な利用方法を考えると、利用者にとって取り立ててメリットとなるものでは無いということです。

制作者にとってのメリットを考えた場合でも、同様です。妥当なマークアップを施されていれば、スタイルシートによって、サイト全体の視覚整形を管理しやすいといったことも言われますが、妥当で無くても規則的でさえあれば( DIV 厨、SPAN 厨であろうと)、それは可能ですし、『赤くしたいから赤くする』『大きくしたいから大きくする』といった観点から『デザイン 』を施す人にとっては、文書構造など、どうでもよい話であって、むしろ直感的なクラス名の羅列の方が扱いやすかったりするかもしれません。

駄目ではないでしょうけど、相手の多くは恐らく HyperText Markup Language を勉強したい人ではなくウェブサイトを作りたい人でしょうから、現実的に、ブラウザでの表示確認なしに理論だけを教えるのは難しいのではないでしょうか。一番避けたいのは「論理とか表現とかわけわかんねぇよ。やめたやめた!」と、正しく学ぶことを放棄されることです。理解を早め・やる気を維持させるために、HTML (論理構造) と CSS (見栄え) の同時進行はある程度必要だと思います。

HyperText Markup Language を勉強したい人 は、妥当なマークアップを学ぶことが出来るでしょう。しかし、とにかく ウェブサイトを作りたい人 は、前記の観点から『デザイン』したがる人でしょうし、正直言って、 論理とか表現とかわけわかんねぇよ。やめたやめた! の人ですから、妥当なマークアップを理解するのは、まず困難です。 ウェブサイトを作りたい人 にとって、夢を実現させるには、h1 とか p とか ul とか複雑な要素を適材適所にマークアップする方法を学ぶより、DIV と SPAN だけ覚えて、CSS で見栄えをなんとかする方が遥かに簡単なのです。つまり、 HTML (論理構造) と CSS (見栄え) の同時進行 は、教える側の思惑とは裏腹に、教えられる側では、早々に HTML (論理構造) を切り捨てて、CSS (見栄え) に比重を置いて進行していく動機づけになると予想されます。故に、出来れば、マークアップのお勉強の時間には、Web ブラウザでの確認作業は行わせない方が好いのではないかと思うのです。マークアップの正否は、Web ブラウザでの視覚整形とは何の関係も無く、文書の意味を正しく捉えられているかどうかに拠ります。学習成果を見るのには、精々例文を正しくマークアップ出来ているかどうかといった、比較確認作業程度で好いのではないかと。

扨、今後、制作者の間にスタイルシートは広く浸透していくことでしょうけれど、そのリソースに、妥当なマークアップは遅々として施されないであろうと思われます。スタイルシートは便利なものとして認識されますが、妥当なマークアップには(それが妥当であること以外)何の魅力も無いからです。

しかし、妥当なマークアップを施されたリソースは、ユニバーサルであり、可能性が、未来があります(と思いたいです)。これを捨て去るには、非常に惜しいものがあります。

そこで、ウェブサイトを作るには、マークアップを施されたリソースが必要であることを解説し、マークアップするには、規則があることを教え、正しいものと正しくないものがあることを認識させます。それから、そのリソースの利用方法を教え、スタイルシートでの視覚整形などを解説します。とにかく、有無を言わさず HTML には作法が有ることを認識させることが先決です。その後不思議マークアッパーや DIV 厨になってしまったとしても、それが妥当では無いことを認識してさえいれば <!-- つまり罪悪感を持たせるわけだ! --> 、ひょっとしたらストリクトなマークアップをするようになるかもしれない、そこに望みを託すしかないのではないでしょうか。

まあ、極端な話、マークアップのお勉強を受け付けない人は、何をどうしても無駄なので、切り捨てるしか無いだろうし……。

というか、ブログ流行りの昨今、簡単にウェブサイトが作れるのに、今さらマークアップのお勉強なんて、需要が無いだろなあ。やっぱり、小学校の国語の時間に(Web サイト作成とはキッパリ切り離して)、マークアップの概念とか、教えて欲しいなあ。<!-- というか、『始めにマークアップありき』で教えられる対象となる初心者ってのは、今ウェブサイトを作りたい人じゃなくて、本当の初心者、将来作るかも知れない人、結局小学生あたりしかいないのかもー。 -->


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