カナかな団の躁鬱

現在、上の娘が最も恐れているのは、「かんかんおばけ」である。冬の晩に何処からともなく「かぁぁぁん、かぁぁぁん……」と音が聞こえてくるという、恐怖のお化けなのである。このお化け、夏は出ないあたりが、なんとも。

対して、下の娘が恐れているのは、「なまはげ」である。時々テレビに登場するので、不条理な恐ろしさを現実のものとして感じているようだ。いきなり他人の家に押し入って、出刃包丁を振り回し「泣ぐ子はいねがあぁぁぁ、ゆうごと聞かね子はいねがあぁぁ…」と暴れまくり、子供たちが泣き叫び逃げ回る映像が脳裏に焼き付いているのだろう、「さっき、其処になまはげが居たよ」などと言おうものなら、何気なさを装いながらも、母親にぴったりくっついてしまうあたり、可愛いものである。

もちろん姉の方も、「なまはげ」には並々ならぬ恐怖を抱いているようだが、どうも東北地方限定らしいということに薄々勘づいていて、妹ほどは怖がらないという、まあ、現実に音が聞こえてきちゃう「かんかんおばけ」の方が、よっぽど怖いよな、たしかに。